マチノワ · 2026年 春号
CB-05·2026-06-13·約8分
ATAMI ONSEN DATE

熱海、海へ下る湯けむりの坂をふたりで歩く。
山の大楠から夜のテラスまで

熱海の朝は、潮の匂いより先に湯けむりの気配で始まる。駅を出ると街はもう海に向かって傾いていて、どの路地を選んでも足は自然と下りへ吸い込まれていく。相模湾に面した斜面に温泉宿がせり上がり、山の緑と海の青が、ひとつの視界の中で肩を並べている。私たちはあえて高い方から歩きはじめることにした。まず山際の來宮神社で、樹齢を重ねた大楠の根もとに立つ。見上げると幹のうねりが空を分け、人の声が急に遠くなる。その静けさを胸にしまって、ここから先はずっと海へ向かって坂を下っていくだけ──そんな一日の歩き方を、二人分の歩幅で書きとめてみたい。施設の拝観時間やバスの本数はそのつど移ろうので、出かける前に公式の案内をのぞいておくと安心だ。

副題

山際の社で大楠に手を合わせ、高台の城から相模湾を見下ろし、商店街の甘い湯気を抜けて砂浜へ。日が落ちたらテラスでひと息。坂の街・熱海を、ただ海の方へと下りながらたどる随筆。

編集

マチノワ編集部

山際の社で大楠に手を合わせ、高台の城から相模湾を見下ろし、商店街の甘い湯気を抜けて砂浜へ。日が落ちたらテラスでひと息。坂の街・熱海を、ただ海の方へと下りながらたどる随筆。編集部厳選ATAMI ONSEN DATE厳選5スポット2026年 春号山際の社で大楠に手を合わせ、高台の城から相模湾を見下ろし、商店街の甘い湯気を抜けて砂浜へ。日が落ちたらテラスでひと息。坂の街・熱海を、ただ海の方へと下りながらたどる随筆。編集部厳選ATAMI ONSEN DATE厳選5スポット2026年 春号
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厳選5

山際の社で大楠に手を合わせ、高台の城から相模湾を見下ろし、商店街の甘い湯気を抜けて砂浜へ。日が落ちたらテラスでひと息。坂の街・熱海を、ただ海の方へと下りながらたどる随筆。

順位ではなく、編集部が選んだ5スポットを順にご紹介します。熱海の朝は、潮の匂いより先に湯けむりの気配で始まる。駅を出ると街はもう海に向かって傾いていて、どの路地を選んでも足は自然と下りへ吸い込まれていく。相模湾に面した斜面に温泉宿がせり上がり、山の緑と海の青が、ひとつの視界の中で肩を並べている。私たちはあえて高い方から歩きはじめることにした。まず山際の來宮神社で、樹齢を重ねた大楠の根もとに立つ。見上げると幹のうねりが空を分け、人の声が急に遠くなる。その静けさを胸にしまって、ここから先はずっと海へ向かって坂を下っていくだけ──そんな一日の歩き方を、二人分の歩幅で書きとめてみたい。施設の拝観時間やバスの本数はそのつど移ろうので、出かける前に公式の案内をのぞいておくと安心だ。

SPOT01
神社 · 熱海市西山町

來宮神社

熱海の総鎮守として古くから信仰を集める神社で、境内の奥にそびえる大楠は国の天然記念物に指定され、幹の周囲は約24メートルにおよぶ。幹の周りを一周すると寿命が一年延びる、願いを心に秘めて回ると叶うという言い伝えがあり、この一本のために訪れる参拝客も多い。木漏れ日の差す参道や、夜に灯る大楠のライトアップ、境内のカフェなど、神社でありながら滞在して楽しめる造りも特徴だ。一日の最初に山側のこの場所から始めると、ここから海へと高度を下げていく熱海らしい動線がつくりやすい。参拝時間や御朱印の受付時間は変わることがあるため、訪問前に公式サイトでの確認を。

最寄り駅JR来宮駅 徒歩約5分(熱海駅から一駅・徒歩約18分)
料金参拝無料
雨の日○ 屋根のあるカフェや参集殿あり
おすすめ時間午前(人が少なく静か)
SPOT02
城(展望・観光施設) · 熱海市曽我山

熱海城

錦ヶ浦の高台に立つ観光施設で、歴史上の城郭ではなく昭和に建てられた天守風の建物だが、最上階の展望台からは相模湾と熱海の温泉街を一望できる眺めが最大の見どころだ。館内には日本の城に関する展示や江戸の文化を体感できるコーナー、足湯などがあり、天気のよい日は海の向こうに初島や伊豆大島まで望める。山の上に位置するため熱海駅からはバスかタクシーでの移動が基本で、海辺のスポットへ下りていく前にこの高台で街の全体像をつかんでおくと、午後の動線が頭に入りやすい。料金や営業時間、バスの運行は変更される場合があるため、訪問前に公式サイトでの確認を。

最寄り駅JR熱海駅からバス・タクシーで約10分
料金大人1,200円(公式サイトで要確認)
営業9:00〜17:00(入場16:30まで・公式確認)
おすすめ時間昼前後(晴天時の展望)
SPOT03
商店街 · 熱海市銀座町

熱海銀座商店街

熱海駅から海へ下る市街地の中心にある商店街で、かつて温泉街の賑わいの核だった通りに、いまも干物店や昭和から続く喫茶店、洋品店が並ぶ。近年は地元の素材を使ったスイーツ店やカフェ、ゲストハウスも増え、レトロな看板の下に新しい店が混じる独特の風景が楽しめる。プリンや温泉まんじゅう、海鮮を使った軽食など食べ歩きの選択肢が多く、海辺へ向かう途中の休憩と腹ごしらえにちょうどよい。アーケードに近い造りで雨に強いのも、海辺の屋外スポットと組み合わせるうえで心強い。各店の営業時間や定休日は店ごとに異なり変わることもあるため、目当てがある場合は事前確認を。

最寄り駅JR熱海駅 徒歩約10〜15分(海側へ下る)
料金散策無料(飲食は店ごと)
雨の日◎ アーケード状で雨に強い
おすすめ時間昼下がり(食べ歩き向き)
SPOT04
海水浴場・人工海浜 · 熱海市東海岸町

熱海サンビーチ

温泉街の東側に約400メートル続く都市型の人工海浜で、ヤシの並木が植えられた遊歩道に沿って白い砂浜が広がる。波が穏やかで街なかから歩いてアクセスできるため、海水浴シーズン以外でも散歩スポットとして親しまれているのが特徴だ。夏は遊泳でき、それ以外の季節も砂浜と海を眺めながらゆっくり歩ける。夜には砂浜全体がライトアップされ、昼の明るいリゾート感から一転して落ち着いた雰囲気に変わるため、日没をはさんで滞在すると二つの表情を味わえる。遊泳期間や時間、ライトアップの時間は変更されることがあるため、訪問前に公式の観光情報での確認を。

最寄り駅JR熱海駅 徒歩約15〜20分(バスで「サンビーチ」下車も可)
料金無料(遊泳期間は公式確認)
雨の日△ 屋外のため雨天は不向き
おすすめ時間夕方(日没前後)
SPOT05
海浜公園・テラス · 熱海市渚町

親水公園ムーンテラス

熱海港にほど近い渚に整備された海辺の公園で、イタリアの海岸リゾートをイメージしたムーンテラスやスカイデッキ、レインボーデッキなどが続く。サンビーチに隣接しているため、波打ち際の散歩からそのまま歩いて移動でき、一日の締めくくりに組み込みやすい。「恋人の聖地」に認定されており、夜になるとテラス一帯がロマンティックにライトアップされ、海と街の灯りを背景にした夜景が広がるのがこの場所ならではの魅力だ。入園は無料で時間の制約も少ないため、日没を待ってゆっくり過ごせる。ライトアップの時間や点灯状況は変わることがあるため、訪問前に熱海市の公式情報での確認を。

最寄り駅JR熱海駅 徒歩約15〜20分(バス「親水公園」下車すぐ)
料金入園無料
雨の日△ 屋外のため雨天は不向き
おすすめ時間日没後(ライトアップ)
編集部のひとこと
山の社の大楠から、海辺の夜のテラスまで。坂を下るほど、熱海は表情を変えていく。
マチノワ編集部
編集後記

最後に、歩き方

大楠の前で深く息を吸ったら、次は視線を上げに行く。熱海城のある曽我山へ高台を上がると、さっきまで木立にさえぎられていた相模湾が、天守の展望台から一息に開ける。眼下の湯の街と、光をはじく海と、その先のかすむ岬。高いところから一度全体を見渡しておくと、これから下っていく道のりが地図のように胸に収まる。坂を下りきった先で待っているのは、熱海銀座商店街の賑わいだ。昭和の看板が連なるアーケードを、できたての甘味を分け合いながら抜けていく。手のひらに残るほのかな温かさのまま路地を出れば、もう潮風が頬に当たっている。ヤシ並木の続く熱海サンビーチで、私たちは波打ち際まで歩いた。靴の先に砂が触れ、寄せては返す水音が会話の隙間を埋めていく。そして日が傾くころ、隣の親水公園ムーンテラスへ。南欧風の白いテラスに腰を下ろし、海と街にひとつずつ灯がともるのを待つ。山の社で始まった一日が、海辺の夜景でゆっくり閉じていく。坂の多い街だから、歩きやすい靴と、急がない心づもりだけは持って出かけたい。高低差そのものが景色になる街を、二人で一段ずつ下りてきた感触が、帰り道の足にまだ残っている。なお拝観・入場・バス運行などの最新情報は、足を運ぶ前にそれぞれの公式で一度たしかめておきたい。

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