マチノワ · 2026年 春号
KT-01·2026-06-13·約7分
KAWAGOE KOEDO WALK

川越、蔵の町を歩くさんぽ。
時の鐘から横丁、社寺へ

本川越の駅を出て北へ向かうと、空気の色がゆっくり変わっていく。コンクリートのビルが途切れ、軒の低い黒い蔵が両側からせり出してくる。埼玉・川越、都心から電車で三十分ほどの城下町は、なぜか時計の針が緩んでいるように感じる。一番街に入ると、まず見上げてしまうのが木造の櫓だ。時の鐘は今も町の真ん中に立ち、空を区切るように高い。その下を、下駄を鳴らす着物姿の人や、菓子の袋を抱えた家族連れがすれ違っていく。蔵の町から横丁の路地へ、そして表通りを少し離れた社寺へ。歩く距離はそう長くないのに、角を曲がるたびに町の表情が入れ替わる。順路を決めずに、目に留まったものへ近づいていったら、この五つの場所をつなぐことになった。

副題

黒漆喰の蔵が連なる一番街から、駄菓子の匂う横丁、縁結びの社、五百羅漢の寺まで。江戸の時間がそのまま残る小江戸を、足の向くまま歩いた半日の記録。

編集

マチノワ編集部

黒漆喰の蔵が連なる一番街から、駄菓子の匂う横丁、縁結びの社、五百羅漢の寺まで。江戸の時間がそのまま残る小江戸を、足の向くまま歩いた半日の記録。編集部厳選KAWAGOE KOEDO WALK厳選5スポット2026年 春号黒漆喰の蔵が連なる一番街から、駄菓子の匂う横丁、縁結びの社、五百羅漢の寺まで。江戸の時間がそのまま残る小江戸を、足の向くまま歩いた半日の記録。編集部厳選KAWAGOE KOEDO WALK厳選5スポット2026年 春号
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厳選5

黒漆喰の蔵が連なる一番街から、駄菓子の匂う横丁、縁結びの社、五百羅漢の寺まで。江戸の時間がそのまま残る小江戸を、足の向くまま歩いた半日の記録。

順位ではなく、編集部が選んだ5スポットを順にご紹介します。本川越の駅を出て北へ向かうと、空気の色がゆっくり変わっていく。コンクリートのビルが途切れ、軒の低い黒い蔵が両側からせり出してくる。埼玉・川越、都心から電車で三十分ほどの城下町は、なぜか時計の針が緩んでいるように感じる。一番街に入ると、まず見上げてしまうのが木造の櫓だ。時の鐘は今も町の真ん中に立ち、空を区切るように高い。その下を、下駄を鳴らす着物姿の人や、菓子の袋を抱えた家族連れがすれ違っていく。蔵の町から横丁の路地へ、そして表通りを少し離れた社寺へ。歩く距離はそう長くないのに、角を曲がるたびに町の表情が入れ替わる。順路を決めずに、目に留まったものへ近づいていったら、この五つの場所をつなぐことになった。

SPOT01
鐘楼 · 川越市・幸町(一番街)

時の鐘

一番街の通りからわずかに入った路地に立つ、高さ約16mの木造の鐘楼。現在の塔は明治26年(1893)の川越大火の翌年に再建されたもので、城下町に時を告げてきた歴史をいまに伝える。鐘は毎日6時・12時・15時・18時の4回つかれ、その音は環境省の「残したい“日本の音風景100選”」に選ばれている。塔そのものに登ることはできないが、見上げる構図と背後の薬師神社を含めた一角が川越の象徴的な景観で、12時か15時の鐘の時刻に合わせて訪れると、音とともに小江戸の雰囲気を体感できる。鐘つきの時刻や周辺の状況は変わることがあるため、訪問前に公式情報での確認を。

最寄り駅本川越駅 徒歩約15分/川越駅 徒歩約20分
料金見学無料
雨の日△ 屋外・見上げる見学
おすすめ時間午前(12時・15時の鐘に合わせて)
SPOT02
町並み・商店街 · 川越市・幸町(一番街)

蔵造りの町並み(一番街)

川越観光の表舞台にあたる通りで、30棟あまりの蔵造りの商家が軒を連ね、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。黒漆喰の重厚な外壁と分厚い観音扉が特徴で、なかでも寛政4年(1792)建築と伝わる「大沢家住宅」は川越最古級の蔵造りとして国の重要文化財に指定されている。現在も多くの建物が物販店や飲食店として現役で使われており、見るだけでなく買い物や食べ歩きを楽しめるのがこの通りならではの魅力だ。時の鐘もこの通り沿いにあるため、まずここをゆっくり往復してから横丁や社寺へ足を延ばすと動線がまとまる。通りは交通量があり歩道が狭い区間もあるため、混雑時は足元に注意を。

最寄り駅本川越駅 徒歩約10分/川越駅 徒歩約15分
料金散策無料(各店は別途)
雨の日△ 屋外(店内に退避可)
おすすめ時間午前〜昼(食べ歩きと合わせて)
SPOT03
横丁・商店街 · 川越市・元町(一番街北側)

菓子屋横丁

一番街の北西にある石畳の細い路地で、明治の初めに大蓮寺の門前で駄菓子づくりが始まったのが起こりとされる。昭和初期には70軒余りが軒を連ねたといい、現在も20軒ほどの菓子店や駄菓子屋が残る。芋を使った菓子や飴細工、麩菓子、ニッキ飴など、川越らしい素朴なおやつを買い歩けるのがこの横丁ならではの楽しみで、子ども連れでも気軽に立ち寄れる。狭い路地に店が密集しているため、混雑時はゆずり合いながら歩きたい。各店は月曜を定休とするところが多く、営業日や商品は店ごとに異なるため、目当てがある場合は事前に公式情報や店舗で確認を。

最寄り駅本川越駅 徒歩約15分/川越駅 徒歩約20分
料金散策無料(各店は別途)
雨の日△ 屋外の路地(短時間向き)
おすすめ時間昼前後(食べ歩きの休憩に)
SPOT04
神社 · 川越市・宮下町

川越氷川神社

約1500年前の創建と伝わる、川越の総鎮守。祀られる五柱の神々に二組の夫婦神が含まれることから、古くから縁結びの神様として信仰を集めてきた。境内では一日20体限定で授与される「縁結び玉」が知られ、参拝後に手にする人も多い。夏には約2000個の江戸風鈴が境内を彩る祭事「縁むすび風鈴」が開かれ、夕方の風鈴回廊のライトアップが川越の夏の風物詩になっている(開催期間は年により異なる)。一番街から北東へやや歩くため、町並みと横丁を回ったあと午後に訪れる動線が組みやすい。風鈴など季節の祭事や授与品の日程・数量は変わることがあるため、訪問前に公式サイトで確認を。

最寄り駅本川越駅 徒歩約20分/川越駅からバス約10分
料金参拝無料(授与品は別途)
雨の日○ 社殿・授与所は軒下あり
おすすめ時間午後(夏は風鈴の夕刻も)
SPOT05
寺院 · 川越市・小仙波町

喜多院

平安初期の創建と伝わる天台宗の名刹で、「川越大師」として親しまれる。江戸期に徳川家とのつながりが深く、江戸城から移築された「家光誕生の間」「春日局化粧の間」が客殿・書院に残るのがこの寺ならではの見どころだ。境内の五百羅漢は天明2年(1782)から約50年かけて造られた538体の石像群で、一体ごとに表情や仕草が異なり、見て回るだけで時間を忘れる。客殿・五百羅漢などの有料拝観は大人400円が目安で、町歩きの締めくくりに腰を据えて見学するのに向く。拝観時間や料金、休観日は季節により変わり、拝観受付は閉門の30分前に終わるため、訪問前に公式サイトで確認を。

最寄り駅本川越駅 徒歩約15分/川越駅 徒歩約20分
料金拝観 大人400円(変動あり・公式確認を)
雨の日○ 客殿・書院は屋内拝観
おすすめ時間午後(閉門前に余裕をもって)
編集部のひとこと
蔵のひんやりした影、横丁の甘い匂い、社の木立の静けさ。性格の違う町の顔が、歩くほどに地続きでつながっていく小江戸・川越。
マチノワ編集部
編集後記

最後に、歩き方

午前のうちに一番街へ入り、まず時の鐘を見上げた。木の櫓は思っていたより高く、見上げる首の角度がそのまま江戸の高さなのだと知る。鐘を背にして蔵造りの町並みをそぞろ歩けば、黒漆喰の壁が陽を吸い込んで、通りはどこか暗く落ち着いている。重い戸を構えた商家が一軒ずつ表情を変え、店先を覗きながら進むうちに足が止まらなくなった。北へ抜けて菓子屋横丁に入ると、空気が一変する。飴を煮る甘い匂いと、駄菓子の派手な色。狭い路地に人の声が反響して、ここだけ祭りのあとのような賑わいが残っている。ひと休みして、今度は東へ。表通りから少し離れた川越氷川神社は、参道に入った途端に音が引いて、木立の影が深くなった。縁結びの社として知られる境内を抜けると、賑わいの記憶がすっと遠のく。最後は南の喜多院へ。並ぶ五百羅漢の顔を一体ずつ眺め、江戸城から移されたという客殿に上がれば、半日歩いた足の疲れも板間のひんやりした感触に溶けていく。一番街は週末ほど人が多く、車道との境も狭いので、写真に夢中になりすぎないほうがいい。横丁の店は休む日もあり、社寺は表通りからやや歩く。雨なら屋外の食べ歩きを早めに切り上げ、客殿や蔵のなかのカフェに腰を据えると、この町はまた違う顔を見せてくれる。拝観の時間や横丁各店の定休、季節の祭事は移ろうものなので、出かける前にそれぞれの公式情報をのぞいておくと安心だ。歩き終えて駅へ戻る頃には、町の時間に少し体が馴染んでいた。

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