編集後記末
最後に、歩き方。
神社を出て北へ向かうと、上川端商店街のアーケードが続いていた。約400メートル、明太子や土産物の店先をのぞき、甘味の香りに足を止めながら進むと、屋根の下にこもった生活の温度がそのまま夕方の賑わいになっていく。アーケードを抜けてキャナルシティ博多に入れば空気が一変し、運河を囲む曲線の建物と噴水ショーの水音が、街歩きの気分をいったん夜の側へ切り替えてくれた。日が落ちきる前に博多リバレインモールでひと休み。中洲川端駅に直結しているから、空模様が怪しくなっても慌てずに済むのがありがたい。そうして外へ出る頃には、那珂川沿いに屋台の赤い灯りがぽつぽつと並びはじめている。準備が整うのはおおむね日が暮れてからで、暖簾をくぐればもう博多の夜だ。神社の静けさ、アーケードの雑踏、運河の水音、そして川面に映る屋台の灯り——どれも徒歩数分の距離でつながっていて、一筆書きのように博多の表情が移り変わっていくのがこの道のおもしろさだった。屋台は天候や曜日で店じまいが早かったり休んだりするし、櫛田神社の飾り山笠も建て替えの時期には姿を見られないことがある。雨脚が強ければアーケードと屋内施設を長めにつないで、川辺は軒先で雨をしのげる一軒だけのぞくくらいに切り替えるのが歩きやすい。屋台の営業日や各施設の時間は移ろうものなので、出かける前にそれぞれの公式情報へ目を通しておくと安心して歩ける。歩き終えて橋の上で振り返ると、昼の余韻と夜の喧騒が一本の川沿いに溶けこんでいた。