マチノワ · 2026年 春号
KS-17·2026-06-13·約7分
ARIMA ONSEN WALK

有馬温泉、湯けむりの坂をひと歩き。
金の湯から銀の湯へ

六甲の北側へ回り込むと、空気がふっとやわらかくなる。神戸市北区の山あいに抱かれた有馬温泉は、日本三名泉のひとつに数えられる古い湯の街で、駅を出た瞬間からどこか湯のにおいが鼻先をかすめる気がした。鉄分で赤褐色に染まった「金泉」と、無色透明の「銀泉」。性格のまるで違う二つの湯がひとつの町に湧くというのが、ここの妙な贅沢さだ。石畳の坂に木造の宿と土産物店が肩を寄せ合い、湯けむりが路地の上をゆるく流れていく。今日は宿には泊まらず、足だけでこの町を端から端まで味わってみる。坂を上っては湯につかり、また歩く。金の湯で温まり、湯本坂を抜け、温泉寺で町の来し方に触れ、炭酸泉源公園で土から湧く水をひとくち、最後に銀の湯でさっぱりと締める——そんな順で歩いた半日を、見たまま書き留めておく。

副題

赤い金泉と透明な銀泉、その間をつなぐ石畳の坂。神戸の山あいで、湯と街並みをまとめて歩いた半日の記録。

編集

マチノワ編集部

赤い金泉と透明な銀泉、その間をつなぐ石畳の坂。神戸の山あいで、湯と街並みをまとめて歩いた半日の記録。編集部厳選ARIMA ONSEN WALK厳選5スポット2026年 春号赤い金泉と透明な銀泉、その間をつなぐ石畳の坂。神戸の山あいで、湯と街並みをまとめて歩いた半日の記録。編集部厳選ARIMA ONSEN WALK厳選5スポット2026年 春号
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厳選5

赤い金泉と透明な銀泉、その間をつなぐ石畳の坂。神戸の山あいで、湯と街並みをまとめて歩いた半日の記録。

順位ではなく、編集部が選んだ5スポットを順にご紹介します。六甲の北側へ回り込むと、空気がふっとやわらかくなる。神戸市北区の山あいに抱かれた有馬温泉は、日本三名泉のひとつに数えられる古い湯の街で、駅を出た瞬間からどこか湯のにおいが鼻先をかすめる気がした。鉄分で赤褐色に染まった「金泉」と、無色透明の「銀泉」。性格のまるで違う二つの湯がひとつの町に湧くというのが、ここの妙な贅沢さだ。石畳の坂に木造の宿と土産物店が肩を寄せ合い、湯けむりが路地の上をゆるく流れていく。今日は宿には泊まらず、足だけでこの町を端から端まで味わってみる。坂を上っては湯につかり、また歩く。金の湯で温まり、湯本坂を抜け、温泉寺で町の来し方に触れ、炭酸泉源公園で土から湧く水をひとくち、最後に銀の湯でさっぱりと締める——そんな順で歩いた半日を、見たまま書き留めておく。

SPOT01
日帰り温泉 · 神戸市北区・有馬町

有馬本温泉 金の湯

有馬温泉を代表する公営の外湯で、含鉄塩化物泉である「金泉」を気軽に楽しめる。空気に触れると鉄分が酸化して赤褐色に濁るのが金泉の特徴で、保温効果が高く、湯上がり後も体の芯がぽかぽかと続くと言われる。建物前には足湯と飲泉場が設けられ、入浴しない人でも雰囲気を味わえるのがこの場所ならではの楽しみ方だ。駅から温泉街へ入ってすぐの位置にあるため、有馬さんぽの起点にしやすい。料金は平日と土日祝で異なり、繁忙期には特定日料金が適用されることもある。営業時間・定休日・料金は変更される場合があるため、訪問前に公式サイトでの確認を。

最寄り駅神戸電鉄 有馬温泉駅 徒歩約5分
料金大人 650〜800円程度(曜日・時期で変動、公式確認)
雨の日◎ 屋内の温泉施設
おすすめ時間午前(さんぽの起点に)
SPOT02
商店街 · 神戸市北区・有馬町

湯本坂

金の湯のそばから温泉街の奥へと続く石畳のゆるやかな坂道で、有馬本街道とも呼ばれる温泉街のメインストリートだ。両側には木造の宿や土産物店、炭酸せんべいや佃煮の店が軒を連ね、レトロな赤いポストや古い建物が残る昔ながらの湯の街の風情を歩きながら味わえる。坂の途中から脇道に入ると寺社や泉源にも通じており、有馬の見どころを結ぶ背骨のような通りになっている。道幅が狭く上り坂のため、食べ歩きや街並み観賞をしながらマイペースに歩くのに向く。店ごとの営業時間や定休日は異なるため、目当ての店があれば事前に確認を。

最寄り駅神戸電鉄 有馬温泉駅 徒歩約7分
用途街歩き・食べ歩き・土産探し
雨の日△ 屋外の坂道(傘で散策可)
おすすめ時間昼(昼食と街歩きを兼ねて)
SPOT03
寺院 · 神戸市北区・有馬町

温泉寺

奈良時代の僧・行基が衰えていた有馬温泉を復興した際に開いたと伝わる古刹で、本尊は薬師如来。地元では「薬師さん」と呼ばれて親しまれてきた。湯本坂を上った高台にあり、有馬の温泉文化の起点として語られる場所だけに、湯めぐりの合間に立ち寄ると街の成り立ちが立体的に見えてくるのがこの寺ならではの味わいだ。隣接する念仏寺や善福寺とあわせて、寺社が集まる静かな一画を形成しており、温泉街の喧騒からひと息つける。境内は自由に参拝できることが多いが、堂内拝観や行事の有無、時間は時期によって異なるため、訪問前に確認しておきたい。

最寄り駅神戸電鉄 有馬温泉駅 徒歩約6分
拝観境内参拝可(堂内拝観・時間は公式確認)
雨の日○ 屋根のある堂と境内
おすすめ時間昼過ぎ(坂歩きの休憩に)
SPOT04
泉源・公園 · 神戸市北区・有馬町

炭酸泉源公園

有馬名物・炭酸せんべいの原料にもなった天然の炭酸泉が湧き出す泉源を整備した小さな公園だ。社のような屋根の下に置かれた丸い石の中央から冷たい炭酸水がこんこんと湧き、かつては飲泉場として親しまれてきた。鉄分と炭酸を含むためほのかに金気のある独特の味わいで、炭酸せんべいがこの湯から生まれた背景を、味と湧出の様子から実感できるのがこの場所ならではの体験になっている。金の湯から坂を少し上った位置にあり、湯本坂や寺社めぐりと自然につながる。湧水の飲用可否や状態は時期により変わるため、現地の表示に従ってほしい。

最寄り駅神戸電鉄 有馬温泉駅 徒歩約15分
料金見学自由(公園)
雨の日△ 屋外の泉源(短時間向き)
おすすめ時間昼〜午後(散策の途中で)
SPOT05
日帰り温泉 · 神戸市北区・有馬町

有馬温泉 銀の湯

金の湯と並ぶ有馬の公営外湯で、こちらは無色透明の「銀泉」を楽しめる。炭酸を含む泉とラジウムを含む泉を用いた湯は、赤褐色の金泉とは対照的にさらりとした入り心地で、坂歩きで火照った体を最後に整えるのに向く。同じ温泉街で性質のまったく異なる二つの湯を一日で味わえるのが有馬の醍醐味で、金の湯と銀の湯を両方巡ってこそその違いがはっきり分かるのがこの施設ならではの魅力だ。湯本坂の上手、寺社が集まる一画の近くにあり、さんぽの締めくくりに立ち寄りやすい。金の湯との二館共通入浴券が用意されることもある。営業時間・定休日・料金は変わる場合があるため公式サイトで確認を。

最寄り駅神戸電鉄 有馬温泉駅 徒歩約10分
料金大人 550〜700円程度(曜日で変動、公式確認)
雨の日◎ 屋内の温泉施設
おすすめ時間夕方(さんぽの締めに)
編集部のひとこと
赤い金泉に温まって、石畳の坂をひと歩き。湯と町をまるごと味わう、有馬の半日さんぽ。
マチノワ編集部
編集後記

最後に、歩き方

朝のうちにまず金の湯へ。有馬名物の赤い湯にゆっくり身を沈めると、芯から温まって、これから坂を上る足にも力が入る。湯あがりの体で湯本坂へ向かえば、石畳と木造の街並みが緩やかにせり上がっていき、湯気の立つ蒸し物や炭酸せんべいをつまみながら、寄り道ばかりで一向に前へ進まない。坂を上りきったあたりで温泉寺に立ち寄り、有馬の湯がどれほど古くから人を迎えてきたのかに静かに触れる。下る途中、炭酸泉源公園で湧き出す天然の炭酸水をひとくち味見すると、しゅわりと舌を刺す独特の感触に思わず笑ってしまった。歩き疲れた体を最後に銀の湯へ預け、無色透明の銀泉でさっぱり締めれば、金と銀、二つの名湯を一日で踏破した満足が残る。坂と階段の多い町だから、足元は履き慣れた靴がいい。週末や紅葉の季節は人出が多く、外湯に入場待ちが出ることもある。雨の日は外を急ぎ足にして、その分を金の湯・銀の湯のぬくもりや、湯本坂の軒下にゆずればいい。外湯の入浴料や各施設の休みは折々で変わるので、出かける前にそれぞれの公式情報をのぞいておくと安心だ。

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