マチノワ · 2026年 春号
CG-02·2026-06-13·約7分
MIYAJIMA

宮島、潮と原始林を歩く。
大鳥居から弥山の頂へ

桟橋を降りると、まず潮の匂いが鼻に届く。広島湾に浮かぶ宮島(廿日市市)は、海に立つ朱の大鳥居と、背後にそびえる原始林の弥山(みせん)とが、ひとつの島のなかでひと続きになっている珍しい場所だ。社殿も商店街も歩いてすぐ、山頂をのぞけば道はおおむね平らで、足は自然と海沿いへ向く。その日の潮位ひとつで大鳥居の表情はまるで変わるから、出かける前に潮見表をのぞいておくと、自分がどんな鳥居に会えるのか想像がふくらむ。ここからは、その朱の鳥居から海上の社殿、塔の岡の高台、商店街の湯気を抜け、午後には弥山の頂へ――海の信仰と山の眺めが地続きになる道を、足の運びのまま書いていく。

副題

海に立つ朱の大鳥居から、回廊の社殿、塔の岡の高台、商店街の湯気を抜けて、原始林の弥山まで。世界遺産の島を桟橋から一歩ずつたどる宮島さんぽ。

編集

マチノワ編集部

海に立つ朱の大鳥居から、回廊の社殿、塔の岡の高台、商店街の湯気を抜けて、原始林の弥山まで。世界遺産の島を桟橋から一歩ずつたどる宮島さんぽ。編集部厳選MIYAJIMA厳選5スポット2026年 春号海に立つ朱の大鳥居から、回廊の社殿、塔の岡の高台、商店街の湯気を抜けて、原始林の弥山まで。世界遺産の島を桟橋から一歩ずつたどる宮島さんぽ。編集部厳選MIYAJIMA厳選5スポット2026年 春号
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厳選5

海に立つ朱の大鳥居から、回廊の社殿、塔の岡の高台、商店街の湯気を抜けて、原始林の弥山まで。世界遺産の島を桟橋から一歩ずつたどる宮島さんぽ。

順位ではなく、編集部が選んだ5スポットを順にご紹介します。桟橋を降りると、まず潮の匂いが鼻に届く。広島湾に浮かぶ宮島(廿日市市)は、海に立つ朱の大鳥居と、背後にそびえる原始林の弥山(みせん)とが、ひとつの島のなかでひと続きになっている珍しい場所だ。社殿も商店街も歩いてすぐ、山頂をのぞけば道はおおむね平らで、足は自然と海沿いへ向く。その日の潮位ひとつで大鳥居の表情はまるで変わるから、出かける前に潮見表をのぞいておくと、自分がどんな鳥居に会えるのか想像がふくらむ。ここからは、その朱の鳥居から海上の社殿、塔の岡の高台、商店街の湯気を抜け、午後には弥山の頂へ――海の信仰と山の眺めが地続きになる道を、足の運びのまま書いていく。

SPOT01
鳥居 · 廿日市市宮島町・厳島神社前

嚴島神社 大鳥居

桟橋から海沿いの参道を進むと、まず迎えるのが海中に立つ朱塗りの大鳥居だ。現在の鳥居は明治期に再建されたもので、高さ約16.6m・主柱の周り約10mという大規模な木造両部鳥居だ。約3年半に及んだ「令和の大改修」を経て、いまは覆いの取れた本来の姿を間近に見られる。柱が海中の地盤に置かれているだけで自重で立つという独特の構造で、潮が引けば根元まで歩いて近づけ、満潮時には海上に浮かぶように見える。同じ鳥居が時間帯で全く違う表情を見せるのは、潮の満ち引きとともにある宮島ならではの体験だ。干満の時刻は日によって異なるため、訪問前に潮見表で確認しておきたい。

最寄り駅宮島桟橋から徒歩約10分(宮島口よりフェリー約10分)
料金見学無料(社殿は別途昇殿料)
雨の日△ 屋外・遠望中心
おすすめ時間干潮前後(潮見表で確認)
SPOT02
神社 · 廿日市市宮島町・厳島神社

嚴島神社

大鳥居を望んだら、そのまま海上に建つ社殿へ向かう。寝殿造の様式を取り入れた社殿群は朱塗りの回廊で結ばれ、満潮時には床下まで海水が入り込み、建物全体が海に浮かんでいるように見える。平清盛の崇敬を受けて現在の規模に整えられたと伝わり、本社本殿や祓殿、対岸に立つ大鳥居までを一直線に配した海上社殿の構成は世界文化遺産に登録されている。順路は一方通行の回廊に沿って進む形で、立ち止まる位置によって大鳥居や五重塔の見え方が変わるのが歩く楽しみだ。昇殿には初穂料がかかり、隣接する宝物館との共通券も用意されている。料金や昇殿時間は変更される場合があるため、訪問前に公式サイトでの確認を。

最寄り駅宮島桟橋から徒歩約12分
料金昇殿料 大人300円(変動あり/宝物館共通券あり)
雨の日○ 回廊は一部屋根あり
おすすめ時間午前(満潮時は社殿が海に浮かぶ)
SPOT03
神社・仏堂 · 廿日市市宮島町・塔の岡

豊国神社(千畳閣)・五重塔

厳島神社の参拝を終えたら、すぐ裏手の小高い丘へ上がる。豊臣秀吉が大経堂として建立を命じた木造の大広間が豊国神社(千畳閣)で、畳857枚を敷ける広さから千畳閣の通称で親しまれてきた。秀吉の死で工事が途中のまま残されたため天井や壁の一部が未完成のままで、柱だけが連なる開放的な空間に海風が抜ける。床に座ると、額縁のように切り取られた厳島神社と瀬戸内の海を見下ろせるのがこの高台ならではの眺めだ。隣には朱塗りの五重塔が立ち、社殿越しに見える塔の姿は宮島を象徴する構図として知られる。拝観料・拝観時間は変更される場合があるため、公式情報での確認を。

最寄り駅宮島桟橋から徒歩約12分(厳島神社から数分の高台)
料金千畳閣 大人100円(変動あり/五重塔は外観のみ)
雨の日○ 千畳閣は屋根あり
おすすめ時間昼前後(社殿と海を見下ろす)
SPOT04
商店街 · 廿日市市宮島町・清盛通り

宮島表参道商店街

高台を下りたら、桟橋と社殿を結ぶ全長約350mの表参道商店街(清盛通り)で昼食をとる。土産物店や飲食店が軒を連ねる島内の中心的な通りで、宮島名物のあなごめしや、その場で焼き上げる焼き牡蠣、各店が独自の味を競うもみじ饅頭の食べ歩きが楽しめる。焼きたてを生地から作る揚げもみじや、しゃもじ発祥の地にちなんだ大杓子の展示など、ここでしか出会えない店構えも多い。通りにはアーケード状の開閉式屋根が備わっており、雨の日でも傘なしで歩き回れるのがこの商店街の強みだ。社殿への行き帰りに自然と通る位置にあるため、昼食と土産選びをまとめて済ませやすい。営業時間は店舗ごとに異なる。

最寄り駅宮島桟橋から徒歩約5分
営業店舗により異なる(昼〜夕方中心)
雨の日◎ 開閉式屋根あり
おすすめ時間昼(食事と食べ歩き)
SPOT05
ロープウエー・山 · 廿日市市宮島町・弥山

弥山(宮島ロープウエー)

昼食後は紅葉谷から宮島ロープウエーに乗り、島の最高峰・弥山(標高約535m)へ向かう。循環式と交走式という方式の異なる2本のロープウエーを乗り継いで獅子岩駅まで上がる構成で、ゴンドラからは眼下に広がる瀬戸内の島々を見下ろせる。終点近くの獅子岩展望台からは、大小の島が浮かぶ多島美を一望できるのがこの山ならではの眺めだ。山頂まではさらに片道約30分の登山道が続き、巨岩が連なる弥山本堂やくぐり岩を抜けると、瀬戸内海を360度見渡す山頂展望台に出る。岩場と石段が多いため歩きやすい靴が要る。運賃・運行時間は季節や点検で変わり、繁忙期はweb予約が必要な場合もあるため、訪問前に公式サイトでの確認を。

最寄り駅紅葉谷駅(桟橋から徒歩約25分・無料送迎あり)
料金ロープウエー往復 大人2,000円(変動あり)
雨の日△ 強風・荒天時は運休・山頂は視界不良
おすすめ時間午後(下山時間に余裕を持って)
編集部のひとこと
海の大鳥居から原始林の頂まで、潮と山がひと続きになった世界遺産の島を、足の向くまま歩いてみる。
マチノワ編集部
編集後記

最後に、歩き方

朝、宮島桟橋から海沿いの参道をたどると、波の向こうに嚴島神社の大鳥居が正面に立ち上がる。潮が引いていれば砂の上を根元まで歩いて朱の柱を見上げられるし、満ちていれば海上にぽつんと浮かぶ姿を遠目に味わうことになる――同じ鳥居でも、その日の海しだいで会える顔が違うのがおもしろい。そのまま嚴島神社へ入り、海の上に渡された回廊を順路どおりに歩けば、満潮には床下まで水が満ちて社殿そのものが海に浮かんでいるように見えてくる。回廊を抜けて裏手の塔の岡へ上がると、畳857枚分という千畳閣(豊国神社)の大経堂が広々と口を開け、すぐ脇には朱の五重塔がまっすぐ空へ伸びている。高台から坂を下りれば、清盛通りの宮島表参道商店街。あなごめしの甘辛い匂いと焼き牡蠣のはじける音、もみじ饅頭の焼ける湯気に挟まれて、ここで腹ごしらえを済ませておきたい。午後は紅葉谷から宮島ロープウエーに乗り換え、一気に弥山の懐へ。獅子岩展望台に立つと瀬戸内の多島美が眼下に開け、終点の獅子岩駅から山頂までは岩場や石段の続く片道三十分ほどの登り道だから、足元は歩き慣れた靴で来たい。海上に立つ鳥居と山頂から望む島々――この二つの絶景を一日でつなげられるのは、海と山がひとつの島に同居する宮島ならではだ。雨の日なら、屋根のある商店街での食べ歩きと回廊の覆われた社殿、屋内の千畳閣を軸に組み替え、視界の利かない弥山は晴れた日へ持ち越せばいい。下りのロープウエーで耳に潮騒が戻ってくる頃には、海の信仰と山の眺めを地続きに歩ききった満ち足りた疲れが残っている。なお拝観料やロープウエーの運賃、フェリーや宮島訪問税の扱い、各施設の営業時間は折にふれて見直されるので、出かける前にそれぞれの公式情報へ一度目を通しておくと安心だ。

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